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201x年 7月 それは暑い夏から始まった物語です。
弊社に管理移管されたマンションの入居者に、家賃を溜めてしまう若い女性が
おりました。
管理移管されてすぐ、家賃が入らない。
お電話ではお話ができるのですが、いつも言い訳ばかり…
まぁ、無いものは払えないのはわかりますので、きづな社長が大家さんに
立て替えて、何とか様子を見ていました。
一度、お会いして話そうにも、この方、お部屋に帰るのが月に数度しか無いとのこと。
夢を追う職業で活躍したくて、師匠のところで缶詰で修行していて、
お給料も安いとのことでした。なんと師匠の所は他県でした。
定期訪問でこのアパートに行き、お部屋の前に行くと、ポストが折れそうなほどの溢れんばかりの手紙。
どうやら携帯電話や電気、カード会社からの手紙も多々ある様でした。
これにはたまらず、
「不用心だし、月に数度しか帰らない家なら、仲介手数料とか要らずに案内するから、
退去して、師匠の近くのもっと家賃の安いところに移ったらどうか」
と提案しました。
「荷物が多いので、それは嫌なんです…」
でも… 荷物置き場にしては、高い…
何度もこの提案をしました。
そう望むのであれば、やはり家賃はちゃんと入れなきゃいけませんよね。
彼女は「すみません、なんとかします」と。
二ヶ月遅れの状態が平行線でした…
ここまで、1年が経ったでしょうか。
201x年12月
「川島さん、こんな私が言いづらいのですが、給湯器が壊れていて、
実は入居した時(他社管理の時)から壊れていたんです。
あまり部屋にいないので、家賃も遅れていたので言えませんでした…」
なんで早く言わないの、それとこれは別、言われればすぐ直したのに…
でも私がほとんど部屋にいないので…
この時、彼女と会ったのが初めてでした。
いつも電話での会話。第一印象は、「ちょっと疲れていそうで、洒落っ気の無いけど、
美人な人だなぁ」と思ったのをよく覚えている。
実はこのアパート、80代のお婆ちゃんも住んでいるから、毎月必ず
きづな社長は訪問しているアパートなのです。
訪問することで、お婆ちゃんと会話し、元気でいることの確認と、
この女性のポストの様子や、建物のヘタリ具合や掃除の状況など、
現場を回ることで適正に管理ができるのです。
病気の原因を早く見つけるのが治療費も安いのと同じ。
建物だって同じなのです。未病という考え、病気にならない
身体づくり。これ大事なのですね。
そういえば最近、あの子の部屋、手紙溢れてないね。
最近ね、よく帰って来る様になったみたい。
とお婆ちゃんが教えてくれた。
そういえば、だんだん滞納額が減っている。
そして、月の終わりか初めに、向こうから電話をかけて来る様になった。
永い滞納者からお詫びの電話が来ることなど、はっきり言って奇跡。
同業者の方なら、お分かりいただけると思う。
「川島さん、ごめんなさい、今月は月末に5万円しか入れられなかったです、
残りは15日までに入れますので大家さんによろしくお伝えください、
いつもご迷惑をおかけしてすみません。ホント社長には申し訳なくて…」
追い込まない対話型の管理人きづな社長。
話をして、とことん話をして、住み続けることを応援して来た。
心なしか、最近の電話の彼女の声は明るい様な気がした。
201x 年 11月
それは突然の電話だった…
最初は小さい声で、月末の電話なので、入れられなかったコールかな?
と思った私に驚きの知らせだった。
「ワタシ、部屋を出ます」
「突然どうしたんですか?」
「社長には迷惑をかけていて、申し訳ないのですが、
『私結婚することになって、彼の住む⚪︎⚪︎ヘ行くんです!』
最後のセリフはとても嬉しそうで、声のトーンが高かった。
「おめでとう!」
実は、川島社長に管理が変わって、人として私と向き合い、
いろいろ教えてくれ、暖かく私の人生が良くなる様にアドバイス
してくれ、少しづつ明るく前向きになりました。
そうしたら、夢は無謀とわかり、師匠に私は搾取されていることに
気付かせてくれたのが川島さんです。
私は奴隷だったのです。
奴隷から解放されて、新しい仕事を始めたら、今の彼に出会い、
『すぐ結婚しようと言われました!』と。
しかもその彼は、誰もが知る社宅のある一流企業に務める人だった。
「これから関西の彼の社宅に嫁に行きます、もしまた関東に帰って来る時は、
きづな社長に住まい探しをお願いしたいです」
元々、綺麗な美人な彼女は、今日はまるで女優の様だった。
篠原涼子さんが目の前に立っている様だった。
退去の日、メッセージカードが鍵に添えられていた。
人の人生が自分の行動でこうも変わるということを、自らが体験した。
大手の様に、裁判で追い出すことも出来たが、それはしなかった。
僕は不動産屋ではない、家族の幸せコーディネーターだ。
こういう幸せを後から分けてもらえるので、真心ってとても大事だ。
また涼子に再び会う日はあるのだろうか?
この仕事、私は死ぬまでやめられそうに無い。